本文へ移動

薬を飲むということは

薬の副作用について

薬を飲むと病気の原因となる患部だけでなく全身に行きわたります。そのためすべての薬には主作用と副作用があります。病気を治したり軽くする作用が主作用で、本来の目的以外の期待しない作用が副作用です。身近な薬でいうと、風邪薬を服用したら熱は下がったけど胃が痛くなったとか、花粉症の薬を服用したら鼻水は止まったけど眠くなった、などです。

では、薬が体にどのように働くのか

薬の働きとは

このように薬自体のもつ性質で起きる副作用以外として、薬の副作用には大きく分けると二つ、間違った使い方をしたために起こる服用と、もう一つは薬を用法用量を守って正しい使い方をしたのに人によりアレルギーを起こすことがあります。残念ながらアレルギーは予測不可能でいつ誰に生じるかわかりません。

アレルギーで怖いのは・・・

アナフィラキシーとは?

薬に含まれる成分が原因(アレルゲン)となってアレルギー症状が起こります。薬で起きるアレルギーは薬疹といわれるものがほとんどですが、短時間に全身に現れる激しい急性のアレルギー反応、これをアナフィラキシーといいます。アレルギーとは異物からヒトを守るための仕組みである「免疫」が過剰に働くことによってさまざまな症状を引き起こす状態です。アナフィラキシーで恐いのはショック状態に至り生命を脅かす危険な状態になることがあるということなのです。

なぜ、アレルギーは起こるの?

アレルギーは薬だけで起こるわけではないのです。

アナフィラキシーの原因となるのは薬物だけではなく、蜂毒は皆さんよくご存知ではないでしょうか、最初に抗原の侵入により抗体が作られ、同じ抗原が体内に侵入したときに1回目よりも急速に反応がでるのです。同様に卵、牛乳、そば、小麦、ピーナッツ、エビやカニなどの食物でも起こることがあります。薬の中には卵や牛乳に含まれる成分が原料となって作られている薬もあるため、食物アレルギーがある場合にはお薬を購入する時や薬を処方してもらうときは必ずアレルギーがあることを伝えてください。

アナフィラキシーの原因として多いのは、

実は食べ物が一番多いのです。

実はアナフィラキシーの原因は食物が全体の35%と一番多く、その次に薬物によるもの、蜂毒によるものとなっています。昨年12月に東京都調布市の小学校で牛乳アレルギーのある児童が給食ででた粉チーズ入りのチヂミを食べてアナフィラキシーショックを起こし死に至るという事故が起こりました。ごちそうさまをした30分後に「気持ち悪い」と消化器症状を訴えています。

アナフィラキシーの主な症状は?

ナフィラキシーの主な症状は、発疹・皮膚のかゆみ・顔や瞼の腫れなどの皮膚症状、吐き気・腹痛・下痢などの消化器症状、そして息ができないなどの呼吸器症状があります。呼吸ができないわけですからアナフィラキシーショックは生命を脅かす危険な状態なわけです。

アナフィラキシーで怖いのは

ナフィラキシーで恐いのは血圧低下などによるショックにより死に至ることがあることです。
その対策と予防が最も大切なわけですが、薬物でのアレルギー疾患歴を知っておきその薬が再使用されないよう自己管理することが大切です。食物でアナフィラキシーの症状が発現したことのある方は一度専門医に相談するとよいと思います。アナフィラキシーショックの治療として、医療機関では症状を緩和する目的でアドレナリンという薬が使われます。アドレナリンは気管支や血管に働いて呼吸困難や血圧低下などのアナフィラキシー症状を改善します。自己注射でエピペンという注射がありますので是非専門医にご相談ください。

怖い副作用・・・

次に多くの薬でその報告があるにも関わらずあまり知られていない薬の副作用についてお話します。スティーブンズ・ジョンソン症候群(SJS)、別名皮膚粘膜眼症候群といいます。抗生物質、解熱鎮痛剤、抗てんかん薬、降圧剤、など多くの薬に報告があります。症状は名前の通り皮膚粘膜眼に症状が出るのが特徴です。高熱、眼に充血、めやに、瞼の腫れ、眼が開けずらい、唇や陰部のただれ、排尿排便時の痛み、喉の痛みなどです。発熱、喉の痛みなど症状の似通った他の疾患と診断されるなどして発見が遅れることがありますしかしひとたび発症すると、重篤な症状に陥りやすいことが知られています
10年ほど前に、抗てんかん薬が処方された中学生の少年に起こりました。服用を開始後2週間以上経ってから手足の発疹、口内のただれ、発熱などが出現しました。お母さんは抗てんかん薬が処方されている小児科に連れて行きましたが何度症状を訴えても手足口病と診断され帰されたそうです。この副作用の恐ろしいところは症状の進行が早いことです。そしてこの場合のように服用開始直後ではなく2週間以上、1か月以上経ってから起こることがあるのです。お母さんが最後に薬の副作用ではないでしょうか、と訴えて始めてスティーブンス・ジョンソン症候群と診断されました。少年はすでに水も飲めない状態になっていた、と回復後に教えてくださいました。
もう一例はつい一昨年、インフルエンザでインフルエンザ治療薬の抗ウイルス薬と解熱鎮痛薬カロナールをお出しした方に起こりました。薬の服用開始後口内のただれ、発熱、陰部のただれ、膀胱炎症状がインフルエンザとは異なる症状が発現しました。インフルエンザの熱が下がらないと勘違いしやすいと思いますが、その患者さんは薬局に症状発現を相談するために薬局に連絡を下さいました。その症状はSJSの可能性があることを伝えすぐに受診してくださいましたので服用中止することで症状は軽減していきましたがスティーブンス・ジョンソン症候群で間違いないであろうとの診断でした。早期発見で危険は回避できましたが今後は再び同じ薬を服用することのないよう注意が必要です。

もう一つ怖い副作用として

この副作用も重篤な皮膚症状を伴う副作用で中毒性表皮壊死症、ライエル症候群と呼ばれます。SJSと独立した概念かあるいは重症度による区分か統一見解が得られていませんがSJSと同様の皮膚粘膜に症状が出ます。自覚症状として全身の10パーセント以上に火傷のような水ぶくれ、皮膚のはがれ、ただれなどが認められます。
どうか会場の皆さんは今日の知識を記憶のどこかにとどめてくださり、薬の服用開始後、また服用中にこのような症状(いつもと異なる症状)が見られたら、これらの副作用を疑い、早めに受診してください。

整理して

怖い事を書いてすみません。

話してきました副作用は大変まれなものです。
SJ症候群は人口100万人あたり年間1~6人、中毒性表皮壊死症は人口100万人あたり年間0.41.2人と報告されています。
実はこれは医療用の医薬品でのみ起こるのではなく、市販されている一般用医薬品でも起こることがあります。薬で有名なカロナールは成分がアセトアミノフェンです。このアセトアミノフェンは風邪薬などの市販薬にも多く含まれています。風邪で市販薬を服用し発熱、口内炎などの症状がさらにひどくなったため病院を受診、そこでまた同じ成分の風邪薬が処方される。どのようなことが起こるか想像がつくと思います。

知っておいてほしいのは

これは医薬品・医療機器等安全性情報より報告のあったH19年~23年に市販薬で起きた副作用症例状況です。
このように市販薬でも起こることがあることを知っておいてくださり受診時は服用中の薬を知らせて症状を詳しく伝えてくださることで早く診断がつくと思います。

まとめてみると

これも知っておいてほしいことです

重篤な副作用をお話してきましたが、医薬品医療機器総合機構において副作用被害を救済する制度があります。
医療用医薬品、または一般用医薬品を適正に使用したにも関わらず、重篤な健康被害が起きた場合に救済給付を行う公的な制度です。このような制度があることも知っておいて頂きたい思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

ここまで副作用のお話を聞いてきて、副作用はとても怖いものだと思われた方も多いと思います。
薬の良い面(主作用)と悪い面(副作用)を理解し、上手にお付き合いできれば良いなと思います。
薬と皆様の仲人として、薬剤師という職業を利用して頂ければと感じています。
それでは、副作用に関していくつかの問題を解いていきたいと思います。
風邪薬や花粉症の薬を服用して眠くなるということはよく聞いたことがあると思います。それでは、判断力が低下することがあるということはあるのでしょうか? 

さて、ここで問題です。

答えは

答えは、○です。このことをインペアードパフォーマンス(気づきにくい能力ダウン)と言います。
風邪薬や花粉症の治療薬として使われる抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンの働きを抑えることでアレルギー症状を緩和させる薬ですが、脳に働くヒスタミンも抑えてしまうので集中力や記憶力を低下させてしまうことがあります。「脳に入りにくい医療用成分配合だから、眠くなりにくい」というテレビCMを見た方もいらっしゃるかと思います。抗ヒスタミン剤の脳に対する効果は、眠気で自覚できる場合もありますが、ほとんどは自覚しない状態で能力低下を起こします。
そのため、交通事故の原因にもなるため、アメリカなどでは運転時の使用が制限されている薬です。
高齢者などでは、抗ヒスタミンの集中力低下による転倒事故も報告されています。
お薬の効果や副作用の発現には個人差があり、相性がありますので、必ずこの薬がすべての人に良いということはありませんが、状況によって使い方を考える必要があります。

なので、薬にはこのような使い方もあります

副作用は悪い作用と感じる方は多いと思います。先ほども、副作用のことを、薬の悪い面と説明しました。
実は、副作用も用途によっては利用できるケースもあるということをお話ししたいと思います。
抗ヒスタミン剤は、古いタイプのものは、特に強い眠気という副作用を持っています。
この副作用を利用して、睡眠薬や乗り物酔いの薬として利用しているケースもあります。
このように、副作用を正しく認識することで、薬の効果が生かされてくると言えます。

では、質問です。

答えは

答えは×です。自己判断による中止で、病気が再発する場合があります。
病気は原因が改善しなければ治癒しません。主に自然治癒力や手術・薬・生活習慣の改善などで原因を取り除くことが出来るまでは、薬によって症状を緩和する治療(対症療法)に頼っているのが現状です。
薬によって症状が緩和しても、原因が解決していなければ、薬を止めた後に再び症状が出てしまいます。
また、シーソーのように薬で症状のバランスを取っている場合もあります。薬を止めることで急にバランスが悪くなり症状悪化につながりますので自己判断で中止は避けてください。

最後に

答えは

外用薬でも副作用が発生します。薬の成分によっては、光過敏症の副作用の報告があります。この症状は、薬をはがした後、4週間ものあいだ成分が残っているケースがあるので、注意が必要です。
光過敏症は普通の皮膚炎とは違い、服とかでカバーすれば防ぐことが出来ますので、副作用に適した対応をすることで防ぐことが可能です。

最後までありがとうございます。

これで終わりです。
次は「お薬手帳の役割」です。
最後までありがとうございます。
公益社団法人
相模原市薬剤師会
〒252-0236
神奈川県相模原市中央区
富士見6-1-1
TEL.042-756-1502
FAX.042-758-9615

──────────────────
1
0
6
2
4
1
8
TOPへ戻る