公益社団法人 相模原市薬剤師会|神奈川県|相模原市|

 

H.27秋から初冬の薬用植物

   
10月・11月・12月頃の秋から初冬にかけて見られる薬用植物をご紹介いたします。
 

【ワレモコウ】バラ科 ワレモコウ属

【ワレモコウ】バラ科 ワレモコウ属
 
写真①
 
写真②
 
写真③
 
写真④
   
ワレモコウは秋の野草として生け花などにも使われるので、よく知られている植物です。
山野の日当たりのよい草地に生える多年草です。
涼しくなる初秋から10月頃まで見られ、長い柄をもった楕円形の紅い花序が秋風に揺れている景色もなかなか風情があります。
暗紅紫色の楕円形の花序(写真①)は一つの花が穂状に集まったものです。
花をよく見ると(写真②)、一つの花には花弁がなく4個の萼片が花弁のように見え、萼片より短い雄しべは4個で葯は黒です。上から下へと開花し、まだ蕾が下に残っている様子が見えます。
バラ科の花は花弁と萼片が5枚が多く、ワレモコウのように花弁がなく萼片が4枚は珍しいです。
葉は(写真③)奇数羽状複葉で、小葉は長楕円形でふちには先がやや丸い細かい鋸歯があります。
花の咲いていない時期でもこの葉の形からワレモコウとわかります。
バラ科はふつう葉柄の基部に托葉が1対つくのが特徴で、写真④のようにバラ科のワレモコウも小葉の基部に托葉が1対ついています。
11月頃堀りとった根茎を乾燥したものが生薬名「地楡ちゆ」です。
タンニンを含んでいるので煎じて下痢止めに、外用に止血薬として用います。  
 

【キンミズヒキ】バラ科 キンミズヒキ属

【キンミズヒキ】バラ科 キンミズヒキ属
 
写真⑤
 
写真⑥
   
キンミズヒキは初秋から秋にかけて道ばたや草地に普通に見られる多年草です。
細長い花序を(写真⑤)タデ科のミズヒキにたとえたものです。
花をよく見ると(写真⑥)黄色い花弁は5枚で萼片も5枚で、萼筒がよく発達し萼筒のふちにはカギ状の刺が多数あります。
 
 
写真⑦
 
写真⑧
 
写真⑨
   
花後、果実(写真⑦)は萼筒と萼片に包まれて熟し、カギ状の刺が秋には衣類につきやすく果実の散布に役立ちます。
果実が衣類につきやすいことからヒッツキグサの方言もあります。
葉は(写真⑧)奇数羽状複葉で、大小ふぞろいの小葉からなり、小葉のふちはやや鋭い鋸歯があります。
この大小ふぞろいの小葉のつきかたから、花の咲いていない時期でもキンミズヒキとわかります。
複葉の葉柄のもとには(写真⑨)托葉がハート形についていてバラ科の特徴を備えています。
根茎を含む全草を乾燥したものを、生薬名「竜牙草リュウガソウ」または「仙鶴草センカクソウ」といいます。止血や下痢止めの作用があり、歯ぐきの出血や口内炎に煎液でうがいをする用い方があります。
 

【サフラン】アヤメ科 サフラン属

【サフラン】アヤメ科 サフラン属
 
写真⑩
 
写真⑪
 
写真⑫
 
写真⑬
   
サフランは地中海沿岸からインドにかけて自生する多年生の球根植物ですが、相模原市緑区でも耕作放棄地の再生利用という形で栽培している所があります。
11月晩秋の頃、球根から細長い新葉と一緒に淡紫色の花が開花します。(写真⑩・⑪)
花後も葉は長く伸び、翌春の5月頃に枯れて晩秋まで休眠します。
花のつくりを見ると淡紫色の6枚の花弁、黄色い3本の雄しべ、花の外に垂れ下がっている3本の赤い雌しべがあります。垂れ下がっている赤い雌しべは長い柱頭が3裂したもので、その下の花柱は黄白色で1本になっています。
この赤い3本の柱頭を乾燥したものが局方の生薬「サフラン」です。
1gの生薬サフランを得るのに100個~120個の花を必要としますので、昔ヨーロッパでは金と同じように高額で取引されていたようです。
成分は黄色のカロチノイド色素クロシンで、クロシンはクチナシの果実「山梔子」の黄色色素と同じものです。
生薬サフランは鎮静・通経作用があり婦人用の民間薬として、また料理で着色料としてサフランライスやブイヤベースにも使われています。
写真⑫は同じサフラン属で早春に咲く球根植物のクロッカスです。
クロッカスの雌しべを見ると柱頭が短く3本に分かれていないことがサフランとの違いで、もっぱら観賞用として栽培されています。
またサフランと似た名前にイヌサフラン(写真⑬)があります。
ユリ科のイヌサフランはサフランとは全く別物で、有毒植物でもあり痛風薬の製造原料でもあります。球根や種子にアルカロイドのコルヒチンを含有し、誤食すると嘔吐・下痢・呼吸麻痺を起こし、早春の芽生えの頃のイヌサフランをギョウジャニンニクと間違えて食中毒を起こした事故がありました。
 

【ビワ】バラ科 ビワ属

【ビワ】バラ科 ビワ属
 
写真⑭
 
写真⑮
 
写真⑯
   
冬の期間11月から翌年の1月にかけてビワの樹木を見上げると、葉の間から密集して花が咲いています。(写真⑭)
ビワは古くから日本にあった常緑高木で、暖地で果樹として栽培されています。
花を見ると白い5枚の花弁、薄茶色の5枚の萼、薄茶色の雄しべ、全体に褐色の綿毛が密生して冬の寒さから守っています。
葉は長楕円形で厚く硬く葉脈が深く、葉表は無毛で光沢があり、葉裏は褐色の綿毛が密生しています。
写真⑮は2月中旬のビワで、花も終わり枯れた萼の下に果実がふくらんできました。
果実は子房そのものが変わったものが真の果実(真果)で、子房以外の部分が肥大して見かけ上の果実をなすものを偽果といいます。
ビワは偽果で、食べる部分は雄しべや雌しべを支えている花托(花床)が肥大した部分です。
ナシやリンゴも食べる部分は花托が肥大した偽果です。
写真⑯は5月中旬のビワで、私達が目にするビワに近づいてきました。
果実ははじめ綿毛がありますが、黄橙色に熟すと無毛になります。
ビワの葉を乾燥したものが局方の生薬「ビワヨウ」です。
ビワヨウには青酸配糖体アミグダリン他を含み、鎮咳作用・去痰作用・抗炎症作用があります。
漢方処方「辛夷清肺湯しんいせいはいとう」に配剤されています。
またあせもや湿疹に浴剤として、神経痛や関節痛に枇杷灸として利用されます。
                          会員 熊井啓子
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