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春から初夏の薬用植物

4月・5月・6月頃の春から初夏にかけて見られる薬用植物をご紹介いたします。

【オドリコソウ】シソ科 オドリコソウ属

写真①
春から初夏にかけてヒメオドリコソウの群生はよく見かけますが、オドリコソウ(写真)はあまり見られなくなりました。
明治に渡来した外来種のヒメオドリコソウの繁殖力の強さに負けてしまったのでしょうか。
オドリコソウの草丈は30~50㎝位ある山野や道ばたの半日陰に生える多年草です。
花のつき方が、笠をかぶった踊り子達が並んだ姿に似ていることから名付けられました。
写真②
葉は対生で比較的大きな心形で、先端は尖りふちには粗い鋸歯があり、網目状の葉脈が目立ちます。
茎はシソ科の特徴の四角形をしていて軟らかく、節には長い毛があります。
写真は霜にうたれて葉がシワシワになった2月のロゼット状のオドリコソウです。この状態から春暖かくなるとぐんぐん伸びて、その若葉はゆでておひたしや天ぷらとして食用にされます。
薬用としては3~6月の開花期に全草をとって日干しにし、浴槽に入れ浴湯料として腰痛の治療に使われます。
 

【ヤマモモ】ヤマモモ科 ヤマモモ属

写真③
6月から7月頃、赤く熟したおいしそうな果実をつけたヤマモモ(写真)が公園などで見られます。
ヤマモモは関東地方南部以西に分布する雌雄異株の常緑高木です。
写真は4月のヤマモモで、葉のわきに円柱形の花序をだした雌花の集まりが見られます。雌花といっても花びらはなく、赤い花柱が目立ちます。
2ケ月もすると一個づつの雌花が果実となり、初夏には赤く熟します。
写真④
果実の表面は密に粒状の突起があり、中に扁平な核が1個、そして種子が1個入っています。
果実は甘酸っぱく、生食のほかジャムなどに利用されます。
灰白色でちりめん状のシワがある樹皮はタンニンが含まれ、古くから塩水に耐える染料として魚網を染めるのに用いられました。
夏の土用の頃樹皮をはいで日干しにし、生薬名「楊梅皮ようばいひ」として薬用にも使われます。
 乾燥した樹皮を粉末にして卵白で練って打撲傷や捻挫のときに患部に湿布したり、樹皮を煎じて下痢止めに内服したり、口内炎のただれにうがいをしたりして利用されてきました。

【クサノオウ】ケシ科 クサノオウ属

写真⑤
この時期咲く黄色い花は、タンポポ、
ハルノノゲシ、ウマノアシガタ(キンポウゲ)、キツネノボタン、ニガナなどがあります。
その中でもクサノオウ(写真)は花弁が4枚あることでケシ科の仲間とわかります。他にケシ科でヤマブキソウがあり、やはり花弁が4枚あることでバラ科のヤマブキと区別がつきます。
クサノオウは日当たりのよい道ばたや草地などに生える高さ30~80㎝の2年草です。
写真⑥
全体に縮れた毛が多いので、白っぽく見えます。
花をよく見ると、多数の雄しべの間に体をくねらせた青虫のような雌しべがあります。
茎や葉を切ると黄色の乳液(写真)がでるので「草の黄」という説があります。
黄色の乳液はアルカロイドのケリドニンなどが含まれ鎮痛、麻酔性の作用がありますが、いずれもその作用は弱いです。
夏から秋に全草を日干しにし、生薬名「白屈菜はっくつさい」として湿疹にその煎じ液で患部を洗ったり、生の茎葉のしぼり汁を塗る利用法もあります。
皮膚病に効くので「瘡の王」とも言われています。
 

【メハジキ】シソ科 メハジキ科

写真⑦
メハジキの名は「目弾き」からきたもので、茎を短く切りまぶたにはさんで、まぶたを閉じる勢いにまかせて遠くに飛ばす子どもの遊びからつけられました。
メハジキ(写真)は野原や道ばたに生える高さ0.5~1.5メートルの多年草です。
葉のわきに唇の形をした花(写真)を数個づつつけ、下唇は3裂し中央裂片はさらに2裂し、赤いスジが目立ちます。
 
写真⑧
オドリコソウも同じで、唇形花しんけいかをつけるのはシソ科の特徴です。
茎葉は長さ5~10㎝で深く3裂し、裂片はさらに羽状に切れ込みます。
写真は2月のロゼット状の冬越しのメハジキです。
長い柄のある3深裂の丸い葉は、初夏の花期の葉の形とは全く異なります。
 花をつけた地上部を日干しにしたのが、生薬名「益母草ヤクモソウ」です。
写真⑨
母の益になる薬草という意味で、古くから婦人薬として使われてきました。
生理不順、産後のめまい、不正子宮出血などに効果があり「芎帰調血飲きゅうきちょうけついん」の漢方処方に配剤されています。                                               
 
                                                                                                             
             会員 熊井啓子 
 
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