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お薬手帳の役割

医療機関を受診する時はいつも持参してくださっていますでしょうか?
薬局ではお薬手帳の提示をお願いするわけですが、そこで我々薬剤師は皆さんのお薬手帳の情報から何を考え、何を確認しているでしょうか。

ちょっとこのような場面を想像してください。

Aさんは腰痛のために整形外科を受診してロキソニンという薬を貰って服用しています。服用中に風邪をひいたので、今度は内科を受診して解熱鎮痛剤のケンタンを処方されました。実はこのケンタンとロキソニンは全く同じ薬です。
時々、「痛み止め」と「熱さまし」は影響し合わないと誤って認識されている方がおられますが同じ場所に作用する薬のため注意が必要です。

今医療の現場は大変複雑になっています。

病院で処方箋が発行されますが、医師が処方できる薬は15,000品目に上ります。
そして一つの医薬品には二つの名前があります。
例えばロキソニンの例ですが商品名がロキソニン、一般名はロキソプロフェンNa、これは効果を表す主成分の名前です。その後発医薬品はなんと26種類もあるのです。すべて同じ薬という訳です。これはロキソニンに限らず降圧剤、抗脂血症治療薬、抗生物質、安定剤から睡眠薬まですべてにおいて後発医薬品が多数あるのです。

またお薬には飲み合わせの悪い薬があります。

これも一例ですが、便通を改善するためにカマを服用中に膀胱炎になりクラビットを処方されました。クラビットはカマと一緒に服用することでマグネシウムと結合し腸の粘膜を透過できない形となるためせっかく服用してもクラビットの吸収が低下するのです。このような場合カマの服用をクラビット服用から12時間開けてくださるようにお願いすることで相互作用を回避できる訳です。

さらに薬には併用を避けなければならない薬があります。

それを併用禁忌薬と呼びます。コレステロールが高くてリポバスを服用中に水虫になり皮膚科でイトリゾールが処方される、またイトリゾール服用しているが眠れないためハルシオンが処方される、どちらの薬剤も副作用が強く出る可能性があるためイトリゾールとの併用を避けなければいけないのです。このような場合は処方医に連絡し安全な薬に変更、提案を行います。
今、医療の専門性が進み複数の診療科を受診することが多くなっています。
私たちは皆さんのお薬手帳を確認させていただき情報を共有することで初めて安全にお薬をお出しすることが出来るわけです。

これは薬に入っている薬の説明書で添付文書という風に呼びます。

これは1ページ目で8枚くらいあるのですがこの医薬品情報をもとに私たち薬剤師は皆さんに情報を提供しています。そしてこの情報は日々改定、更新されているのです。これらの情報を収集、整理して正しく情報提供に努めることは我々薬剤師の大切な業務の一つです。

1995年阪神淡路大震災時にお薬手帳の重要性が見いだされました。

2011年東日本大震災ではお薬手帳があれば服用薬の確認を的確に行うことが出来迅速に医薬品の供給に対応することができました。

お薬手帳は1冊にまとめて受診時に持参しましょう。

たまにお薬手帳を病院ごとに分けておられる方がおられますがそれでは意味がないことを分かって頂けたかと思います。

お薬手帳で本当に大事なことは!

大事なことは患者さんの薬の使用状況を正確に効率よく把握することで、安全な医療を提供することです。
確認作業が、正確に効率よくできることで、待ち時間も短くなるのではないかと思います。
そして、高齢者の増加に、医療サービスが対応していくためにも手帳は重要だと思います。

それでは問題です。

答えは

開封された目薬や塗り薬などは、長期の保存が出来ないので、ある程度で処分する必要があります。
薬が残っているということは?処方薬は、処方された本人以外には使用できません。本人以外に処方薬を使用して、副作用が出た場合は、傷害罪として訴えられる可能性があるだけではなく、副作用救済制度も使用できません。残薬として、いつまでも残ることになります。
残薬について、在宅患者における残薬は500億円にのぼると言われています。
手持ちのお薬を有効的に使用し、適切な日数を処方してもらう事ができれば、国のお金も少なくてすむし、自分の支払うお金も少なくて済みます。

最後に

ちょっと横道にそれますが、国が取り組んでいる医療費の削減の一つにジェネリック医薬品の使用があります。
薬局窓口で、「ジェネリック医薬品を希望」と伝えてください。品質・効果・安全性が認められた医薬品です。

最後までありがとうございます

今回はこれで終わりです。
次回は「くすりを飲む時の注意」を載せます。
最後までありがとうございます。
公益社団法人
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