相模原市で見られる薬用植物
9.相模原市で見られる秋から初冬の薬用植物
10月・11月・12月頃の秋から初冬にかけて見られる薬用植物をご紹介いたします。
【ハッカ】シソ科 ハッカ属 日本ハッカ 別名:メグサ
またハッカ属は全草に清涼感のある香りがあるのも特徴です。
同じハッカ属で近縁植物のヨーロッパ原産のセイヨウハッカ(ペパーミント)、マルバハッカ(アップルミント)、北米原産のミドリハッカ(スペアミント)があり、今回のいわゆるハッカは日本ハッカとして区別されています。
日本ハッカは辛みが強くてメントールの含有量が最も高く、合成メントールができるまでは日本産の天然メントールが世界中に輸出されていました。
現在でも北海道をはじめ、岡山・広島県などで栽培されています。
メントールは皮膚につけると冷却作用、麻酔作用を示し、局所の血流を増加させるため、筋肉痛などの外用薬として湿布や軟膏の原料、マッッサージオイルなどに利用されています。
ハッカの葉を含めた地上部を乾燥したものが生薬の薄荷はっかで局方に収載され、辛涼解表薬として漢方薬に配合されています。
風邪のときの咽痛・頭痛、また芳香発散性により気を巡らせて鬱を開く作用もあります。
【ツワブキ】キク科 ツワブキ属
ツワブキ(写真③)は海岸の岩の上や崖などに生える常緑の多年草です。
庭などにもよく植えられ、園芸品種も多いです。
葉に光沢があるフキの意味の艶蕗がなまったといわれます。
他の花が終わった頃に黄色の花が咲くので、石蕗と書いて初冬の季語になっています。
「咲くべきも 思はであるを 石蕗の花 蕪村」
花のつくりは、雌性の舌状花が1列に並び、中心部に両性の筒状花が多数集まる頭状花序です。
キク科の花は高度に分化したつくりとされ、1個の花に見えるのは花序で、数個から数百個の小花が集まって頭状花序をつくっています。小花の花弁には舌状花と筒状花があります。
タンポポは全て舌状花で、アザミの仲間はすべて筒状花で、キクの仲間は舌状花と筒状花でつくられています。
深緑色の丸い葉は肉厚で光沢があり、抗菌作用のある成分を含んでいます。
打撲・おできなどのはれもの・切り傷に火にあぶった葉を患部にはる民間療法があります。
また葉柄はフキと同じように、キャラブキにして食べれます。
センブリ(写真④)は日本各地の日当たりのよい草地、山野に生える高さ10~20㎝の2年草です。しかし野生のセンブリに出会うことは非常に少なくなりました。
茎は四角く、葉は線形で対生ししばしば紫緑色を帯びます。
花は(写真⑤)白く、花弁に紫色のすじがあり、基部まで深く裂けて平開し離弁花のように見えます。同じ科のリンドウは5つに中裂しているので合弁花とわかります。
濃紫色の雄しべの葯の色がアクセントになっています。
花弁の根元には密線が2個づつあり、そのまわりに長い毛が生えています。
センブリはドクダミ・ゲンノショウコと並んで三大民間薬の一つで、古くから健胃薬として利用されてきました。非常に苦く、1000回振りだしてもまだ苦いことからこの名がつけられました。この苦みが舌先を刺激して反射的に胃の働きを活発にします。
根も含めた開花期の全草が生薬のセンブリで局方に収載されています。
同属のイヌセンブリやムラサキセンブリ(写真⑥)は苦みが弱く薬用には不適です。
野生のクチナシは日本の西南部から台湾および中国の暖地に分布していますが、庭木や公園樹としても広く栽培されています。 野生のものに比べて花がやや大きい常緑低木です。
初冬になると果実(写真⑦)が橙色に熟し、裂開しないので口無の名がつきました。
先端に萼片が残り、種子を多数含む肉質の液果です。
葉は厚く艶があり、葉脈が表面でへこみ葉の裏面に突出しています。
梅雨の時期、枝先に甘く濃厚な香りを放つ花(写真⑧)を1個ずつつけます。
花弁は5~7裂し、同じ数の雄しべが花弁の間から花の外に出ています。
通常の雄しべの形とは異なり、花糸は短く、細長い葯は垂れ下がっています。
葯から出す花粉はすでにこん棒状の自分自身の雌しべの花柱にたっぷりついています。
甘い香りに誘われた虫たちはこの花粉をつけて他の花に運んで、他家受粉により結実します。
写真⑨はヤエクチナシですが、雄しべが花弁に変化して(花弁は葉と同じ器官であり、雄しべは花弁と同じ器官)八重咲きになっているため果実はできません。
完熟した果実を乾燥したものが、生薬の山梔子(さんしし)で局方に収載されています。
のぼせやイライラ、不眠、鼻血、黄疸などの熱症状に清熱薬として漢方薬に配合されています。
また果実はサフランと同じカロチノイド色素のクロシンを含むため、古くから黄色の染料として知られ、無毒のためにきんとんや沢庵漬けなど食品を染めるのにも用いられています。
またジャスミンのような香りを放つ花は香料に用いられます。
会員 熊井啓子
8.相模原市で見られる夏から初秋の薬用植物
7月・8月・9月頃の夏から初秋にかけて見られる薬用植物をご紹介いたします。
【ヒガンバナ】ヒガンバナ科 ヒガンバナ属 別名:マンジュシャゲ
花のつくりを見ると、花茎の先端から5~7個の花が横を向いて開き、全体には輪生状に外向きに並びます。
6枚の花被片は強く反り返り、雄しべ6個と雌しべは花の外に長く突き出ています。
花が枯れると地下の鱗茎から深緑色で光沢があり、白い中脉をもつ線形の葉が沢山出てきます。
この葉は冬を越して翌年の春三月頃まであり、4月頃になると枯れてしまいます。
葉のある時期には花は咲かず、花期には葉がないためハミズハナミズとも呼ばれています。
鱗茎は有毒のアルカロイドであるリコリンを含むため、口にすると吐き気や下痢をおこし、ひどい場合には中枢神経の麻痺を起こして死に至ることもあります。
また有毒成分は水溶性で他に多量の澱粉を含むため、長時間水に晒して毒を除き救荒植物として利用されたこともかつてはありました。
鱗茎は石蒜(せきさん)という名の生薬で利尿や去痰作用がありますが、有毒であるため民間療法として利用するのは危険です。
リコリンの他にスノードロップ(ヒガンバナ科)と同じガランタミンも含まれ、アルツハイマーの進行を遅らせる成分として注目されています。
写真②はシロバナヒガンバナで、紅いヒガンバナと黄色いショウキズイセンとの自然交雑種です。
白花と言っても株により白色に淡黄色又は淡紅色を帯び純白ではありません。
ヒガンバナより1ケ月早く咲く、同じヒガンバナ属にキツネノカミソリ(写真③)があります。
キツネノカミソリは半日陰の土手などでよく見かけ、よく結実する野生の植物です。
キツネノカミソリとヒガンバナは、お盆からお彼岸にかけての季節の移ろいを感じさせてくれる植物です。
【トウモロコシ】イネ科 トウモロコシ属
トウモロコシ(写真④)はアメリカインディアンによって古くから栽培されていた穀物で、日本へは1579年にポルトガル人により伝えられたと言われ、今では各地で栽培され私達にもお馴染みの植物です。
イネ科の1年草で、発芽から3ケ月で1本の茎に雄花(雄花序)と雌花(雌花序)を別々につけるいわゆる雌雄同株の植物です。
茎の先端にススキの穂のようになった雄花、雌花は葉の基部に苞に包まれています。
苞の外に垂れている長い毛は花柱で、1本1本が子房(果実)につながっています。
雄花は雌花より早く開花し、風によって花粉を飛ばし他の株の雌花へと運ぶ風媒花植物です。
受精すると花柱は赤くなり、子房も大きくなり食用のトウモロコシとなります。
薬用としては、トウモロコシ澱粉は薬の賦形剤(薬を取り扱いや服用に便利にするために加える成分)として製剤の原料とされます。
長い毛を乾燥したものが生薬名南蛮毛(なんばんもう)で硝酸カリウムを含み利尿作用があり、民間薬としてむくみに使われます、
またトウモロコシは穀物として人間の食料や家畜の飼料となるほか、デンプンや油、バイオエタノールの原料として重要で、世界三大穀物(小麦・米・トウモロコシ)の一つです。
【オミナエシ・オトコエシ】オミナエシ科 オミナエシ属
【ヒヨドリジョウゴ】ナス科 ナス属
7.相模原市で見られる春から初夏の薬用植物
4月・5月・6月頃の春から初夏にかけて見られる薬用植物をご紹介いたします。
【モモ】バラ科 サクラ属
【ホオズキ】ナス科 ホオズキ属
【ラベンダー】シソ科 ラベンダー属
5~7月に開花しますが、高温多湿を嫌うので真夏は
花を早めに切り落としたほうがよいようです。
ラベンダーはハーブの中でも最も代表的なものの一つで、花だけでなく茎葉など全草に香原料として人気の高い芳香成分を含んでいます
ハーブティー、エッセンシャルオイルのほか、入浴剤、観賞用、ポプリ、ドライフラワーとしても利用されています。
またラベンダーの香りは神経を鎮静させる効果があるため、植物由来の芳香成分で健康や美容を増進するアロマテラピー(芳香療法)に使われています。
嗅覚が脳の本能的な部分である旧皮質を刺激し、安心感・快感などに伴う情動が心身のバランスを促すと考えられています。
近年、代替医療としてアロマテラピーに関心を寄せる医療関係者も増えています。
【カキ】カキノキ科 カキノキ属
柿蔕だけを煎じて飲む民間療法もありますが、柿蔕湯という漢方薬に配剤して使用しています
柿渋はかつて和傘などに使用する和紙に塗布して防水性を高めるために利用されたり、材木の防腐剤として
利用されたりしました。
写真⑪ は柿渋をとるために栽培されている12月の時のマメガキです。写真のように霜にあたると黒紫色になって渋みが抜けて甘みが増しおいしくなります。
柿の葉はビタミンCを多く含むのでお茶として、また柿の葉寿司などに用いられています。
「柿が赤くなると医者が青くなる」の諺があるようにビタミン豊富な柿を食べると健康になるということですが、食べ過ぎると便秘するので注意したほうがよいようです。
会員 熊井啓子
6.相模原市で見られる冬から早春の薬用植物
1月・2月・3月ごろの冬から早春にかけて見られる薬用植物をご紹介いたします。
【ナンテン】メギ科ナンテン属
果実には鎮咳作用のあるアルカロイドのドメスチンを含み、咳止めに乾燥した実を1日に5~10g煎じ蜂蜜や水あめを加えて服用します。
お祝いごとで赤飯を他家へ配る時、赤飯の上にナンテンの葉をあしらう習慣があります。これはナンテンの葉に含まれるナンジニンが熱い赤飯の上にのせられてすぐふたをすると、殺菌作用のあるシアン化水素がごく微量ながら発生し、赤飯が腐るのを防止します。シアン化水素は猛毒ですが、微量なので危険性はなく、逆に食品の防腐に役立っています。
このような習慣は長い間の経験から、ナンテンの葉には食べ物を腐敗させないことを昔の人は知っていたのでしょう。
白い実のシロミナンテンもありますが、薬効には変わりありません。
【スイセン】ヒガンバナ科スイセン属
暖地の海岸に大群落をなして野生化していますが、古い時代に中国から朝鮮半島を経て渡来したと言われています。
観賞用として栽培されいろいろな種類がありますが、最もポピュラーなのが写真の日本水仙です。
初春、雪の中でも春の訪れを告げるので「雪中花」の別名があります。
花の形態は花びらのように見える萼が外側に3枚、花びらは内側に3枚と中心に筒状の形をもちます。
種子はできなく、球根で増えていく多年草です。
一般的にヒガンバナ科植物には有毒成分ヒガンバナアルカロイドのリコリンなどを含み、全草とくに球根に多く、口にすると食中毒症状をおこします。
葉はニラと間違えて、球根はタマネギと間違えて食し嘔吐や下痢などの食中毒事故をおこした事例があります。
青森県の道の駅で販売者が山でスイセンをニラと間違えて採取し、購入した客が酢味噌和えにして食べ吐き気を訴えて病院の治療を受けた事故がありました。
雪の中で春の訪れを告げる香りのよいスイセンを松尾芭蕉は「其のにほひ 桃より白し 水仙花」「初雪や 水仙の葉の たはむまで」と謳っています。
【ヤブツバキ】ツバキ科ツバキ属
ツバキは日本原産の常緑樹で、古くから日本人に愛され品種改良が行われてきました。
野生のツバキは北海道を除く日本全土に分布し、ヤブツバキとユキツバキがあります。
ユキツバキは日本海側の低山帯で豪雪地帯だけに分布し、その他の地域はヤブツバキが分布しています。
ヤブツバキの花は花びらが5枚で、雄しべは多数あり、花糸は白色で下半分は合着して筒状になり、基部は花びらと合着しているので、散るときは萼と雌しべだけ残して、雄しべと花びらが丸ごと落ちます。
同じ属のサザンカは花糸が合着していないので、雄しべを残して花びらがバラバラに散ります。
ヤブツバキの果実は大きく直径4~5㎝もあり、果皮も厚く、熟すと3つに裂開して中から大きな種子が現れます。種子からしぼったツバキ油は、灯火用にした時代もありましたが、現在は頭髪用、食用、外用薬軟膏基材に利用されています。
シデコブシは別名ヒメコブシともいい、花色は個体差があり純白から濃いピンクまである落葉小高木です。
本州中部の東海地方を中心とした限られた範囲に分布する日本の固有種です。
しかも開発などが影響して減少しつつある種であるため保全研究に取り組んでいる地域もあります。
葉が展開する前に芳香のある花をいっぱいにつける姿は、まさに春を告げる木です。
花びらは9~30個くらいあり、花の形が四手に似たコブシのような花をつけるのでシデコブシといいます。
同じ属に9枚の花びらをもつコブシとタムシバとハクモクレンがあります。
いずれも、軟毛に包まれた花のつぼみを生薬名辛夷(しんい)と言い、鼻粘膜の収斂作用があるので鼻閉の漢方処方に配剤されます。
果実の写真は9月のコブシの集合果で、10月頃になると熟して割れ、赤い種子が長く伸びた糸状の柄の先にぶら下がります。
シデコブシは局方では辛夷に指定されていませんが、花のつぼみや果実の形はコブシやタムシバやハクモクレンと同じです。
会員 熊井啓子
5.相模原市で見られる秋から初冬の薬用植物
10月・11月・12月ごろの秋から初冬にかけて見られる薬用植物をご紹介いたします。
【クコ】ナス科 ナス属
【イヌサフラン】ユリ科 イヌサフラン属
【ワタ】アオイ科 ワタ属
花は夏から秋に咲きオクラに似た形で、淡黄色の花は朝咲いて夕刻にはしぼんでオレンジ色に変わる一日花です。
薬用には種子から生える白い綿毛を使います。
この綿毛は種子の表皮細胞の一部が糸状に変形したものです。
通常は少量含まれる油脂や蝋物質などを取り除き、さらに漂白して脱脂綿などの衛生材料とするほか、糸状に撚って(よって)ガーゼなどに加工して利用します。
また布団などの保温剤や衣服などの素材として私達の生活にはなくてはならないものとなっています。
繊維を収穫した残りの種子からは油脂が得られ、食用油(綿実油)のほか、マーガリンや石けんなどの原料とします。
日本で栽培されているワタはアジアメンで綿毛が短くて強度が強く、他にアメリカ起源のリクチメンやカリブ海起源のカイトウメンは綿毛が長いので紡績用に向いています。
晩秋から初冬にかけてジャノヒゲの細くざらついた葉をかき分けると、根元に青紫色の種子が現れます。
果実のように見えますが果皮をもたない種子そのものです。
青紫色の種皮をとると半透明の白く丸い胚乳が顔を出します。この胚乳がよく弾むので昔の子どもは投げつけて遊んでいたようです。
ジャノヒゲは日本全土、中国、朝鮮半島に分布する常緑の多年生草本植物です。
山野を歩いていると林床に普通に見られ、常緑のため庭園や公園の下草などにも栽培されています。
夏に、花茎の高さ7~15㎝の白色または淡紫色の花をつけます。下の写真はオオバジャノヒゲの花で、花茎の高さが14~26㎝です。
オオバジャノヒゲの葉巾はジャノヒゲより広くやや厚みがあり、花もよく目立ちます。
花をつけている姿は、葉の根元に花をつけるジャノヒゲとは違った雰囲気です。
4.相模原市で見られる夏から初秋の薬用植物
7月・8月・9月ごろの夏から初秋にかけて見られる薬用植物をご紹介いたします。
【ハス】スイレン科 ハス科
花托は大きく成長し熟し褐色になると中の果実が落下します。果実の皮を取り除いた種子が生薬名蓮肉(れんにく)で鎮静、滋養強壮作用として漢方処方に配剤されます。
肥大した地下茎は食用にされ、穴の開いた蓮根は「先が見通せる」に通じ縁起が良いとされ、お正月のおせち料理にも使われます。
穴が開いている理由は、泥の中で育つ蓮根は地上の茎とも
つながっていて穴が通気孔となり、根に外の空気を送り込んでいるのです。
丸いハスの葉は水に濡れることはありません。落ちた雨水はコロコロと丸くなりながら水滴になり、葉についた汚れや小さな虫などを絡めとりながら、葉から流れ落ちます。
この自浄効果をロータス効果といって、サトイモの葉も同じ現象があります。
このことから「ハスは泥より出でて泥に染まらず」の言い習わしがあります。
【キキョウ】キキョウ科 キキョウ属
【ゲンノショウコ】フウロソウ科 フウロソウ属
【ハトムギ】イネ科 ジュズダマ属
3.相模原市で見られる春から初夏の薬用植物
相模原市の中でも緑区の旧津久井郡は自然に恵まれ、四季の化に応じた植物に沢山出会うことができます。
4月・5月・6月頃の春から初夏にかけて見られる薬用植物をご紹介いたします。
【アケビ】アケビ科 アケビ属
【ボタン】ボタン科 ボタン属
ボタンは中国原産の落葉性低木で、日本に渡来したのは奈良・平安時代で、遣唐使、留学生、僧侶などが中国から持ち帰ったと言われています。
江戸時代に品種改良が重ねられ今日に至っています。
ボタンの根は横に広がって鉢植えに適さないため、観賞用のボタンの多くはシャクヤクの根を台木にして接ぎ木することによって栽培しやすくなり広く普及しました。
幹は直立して分枝し枝は太く、葉は光沢がなく2回羽状複葉で小葉は3~5に中裂しています。
4~5月頃枝先に大きな花を一つ咲かせ、色は品種により白・赤・紫があります。
薬用には根の硬い木部を芯抜きした根皮を使い、生薬名を牡丹皮(ぼたんぴ)と言います。
消炎性駆瘀血(おけつ・血液の停滞のこと)作用、排膿作用があり婦人薬などの漢方処方に配合されます。
【シラン】ラン科 シラン属
【ドクダミ】ドクダミ科 ドクダミ属
2.冬から早春の薬用植物
相模原市の中でも緑区の旧津久井郡は自然に恵まれ、四季の化に応じた植物に沢山出会うことができます。
1月・2月・3月頃の冬から早春にかけて見られる薬用植物をご紹介いたします。「スノードロップ」ヒガンバナ科 ガランサス属 和名:マツユキソウ
大寒の1月頃に枯れ葉の間から新葉と一緒にスノードロップの花が頭をもちあげます。
他の植物達が冬の寒さに耐えているこの時期に花を咲かせる数少ない植物です。
もともとヨーロッパに自生している球根植物で昭和初期に渡来し、観賞用として庭先でも栽培されています。
3枚の長い外花被と3枚の短い内花被があり内花被には緑色の斑点があります。
春の訪れを告げるスノードロップにはこんな伝説があります。
エデンを追われたアダムとイヴをある天使が励ました際、降っていた雪を天使がスノードロップに変えました・・・
そんなスノードロップもガランタミン製造原料として現在注目されています。
ガランタミンは球根に含まれるアルカロイドで重症筋無力症の改善や、最近はアルツハイマーの進行を遅らせるなどの効果が認められています。
【サンシュユ科】ミズキ科 ミズキ属 別名:ハルコガネバナ
【ウメ】 バラ科 サクラ属
早春に咲くウメは、芳香といい花の形といい最も日本的な趣をもった植物でしょう。
ところがウメはもともと日本にあったものではなく、奈良時代に中国から入ってきました。
がく片5枚、花弁5枚、1本の雌しべに多数の雄しべもち、サクラと違って花柄がほとんどないので枝に着くように咲き、樹皮もゴツゴツして不揃いな割れ目が入ります。
ちなみに花弁の先が丸いのがウメで、サクラは割れていて、モモは尖っています。
6月頃果実は熟し梅干しや梅酒として古くから利用され、疲労回復によい酸味成分のクエン酸・コハク酸・リンゴ酸を含む日本独特の健康食品として親しまれています。
また未熟果実をわら灰の灰汁に一晩浸し、煤煙で薫製にした鳥梅(うばい)は駆虫作用があり、漢方薬の鳥梅丸に配剤されています。
黒く酸味の強い鳥梅はウメという樹木が日本に入る以前に、中国から薬用として入ってきました。
なお鳥梅はベニバナ染めの媒染剤にも使われています。
【フクジュソウ】 キンポウゲ科 フクジュソウ属 別名:元日草
1.秋の薬用植物
相模原市の中でも緑区の旧津久井郡は自然に恵まれ、四季の変化に応じた植物に沢山出会うことができます。
今回は9月・10月・11月頃に見られる薬用として使われる植物を、フィールドを歩いている感覚でその形態的特徴と薬効をご紹介いたします。