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学校薬剤師とは

学校薬剤師って何をしているの?

 皆さんも学校の検診で内科の先生が胸に聴診器をあて、心臓の鼓動が正常か確認したり、目の検診で眼科の先生、耳と鼻の検診で耳鼻科の先生、歯の検診で歯科医の先生がそれぞれ診察にきて見てもらった経験はあると思います。
 学校医や学校歯科医の先生は馴染みがありますよね。 でも、学校で過ごしている際に学校薬剤師の仕事をしているところを見たという方はごく少数かなと思います。実は学校関係における法律の中で大学以外の学校には学校医・学校歯科医・学校薬剤師を置くものとすると定められています。ですから皆さんが通っている、または通っていた小学校・中学校・高校には学校薬剤師が配置されています。
 学校薬剤師が仕事をしているところを見る機会が少ないのはなぜかというと、児童や生徒と直接向き合う仕事より縁の下で学校の環境衛生を維持するために支える仕事が多いからです。
 学校は児童・生徒・職員の先生方が1日の大半を過ごす場となります。その長時間を過ごす場の環境衛生がきちんと保たれていなかった場合に児童・生徒等の健康及び学習能率等に大きな影響を及ぼすこともときに考えられます。

●児童生徒の健康を保護し、心身の発育発達を促し、健康の保持増進を図る
●児童生徒等の学習能率の向上を図ること
●児童生徒等の豊かな情操の統治を図ること


 私達学校薬剤師は上記の3つがしっかりと保持できるようにと意識し環境衛生の管理を行っています。

 教室等の環境検査では夏場の検査では特に温度・湿度が高くなると脱水症状のリスクがあがります。冬場は乾燥してくるとインフルエンザウイルスなどの蔓延にもつながります。これらのことを意識しながら以下の検査を行います。


(1)換気(2)温度(3)相対湿度(4)浮遊粉じん(5)気流

(6)一酸化炭素(7)二酸化窒素(8)揮発性有機化合物
(9)ダニ又はダニアレルゲンを行います。
     
 教室の照明が暗くないかまたまぶしくないかなどを調べる採光及び照明の検査も行います。


 (10)採光(11)まぶしさ

    
 黒板に書かれた字が見えやすいかを調べるために黒板の色彩検査を行います。


 (12)黒板の色彩


 水道水の検査では普段学校で使用している水道水に適正範囲の塩素が含まれているか、味、におい、透明かなどを五感も利用して検査を行います。
 また、五感だけではできない検査もありそれについては行われた際の報告書をきちんと確認することにしています。

 夏場にはプールの授業も行われます。プールには一度に大人数が入水します。
  そのため、プール水がきちんと衛生的に管理されているかは非常に重要となってきます。大きくわけて水質検査と施設検査があります。

1 水質
 (1) 遊離残留塩素(2)pH値(3)大腸菌(4)一般細菌

 (5)有機物等(6)濁度(7)総トリハロメタン

 (8)循環ろ過装置の処理水 

2 施設・設備の衛生状態
(9)プール本体の衛生状況 

(10)浄化設備及びその管理状況
(11
)消毒設備及びその管理状況

 児童・生徒・職員の方が学校で食べている給食、自校給食、センターで作られ運ばれてくるもの、メーカーが作ったお弁当形式等、いろいろな形があります。
 相模原市ではほぼ自校給食かセンター形式で賄われています。私達学校薬剤師は学期に1度、年に3回給食室の検査を行います。
 大腸菌、一般細菌の検査を行い、それに加えでんぷん、脂肪反応の各検査も行います。
  また、給食室が衛生的に管理されているかの施設検査も同時に行っています。
 上記の環境衛生検査・水質検査・給食検査をただ行っているのだけでなく結果をみて適切に指導・助言を行います。検査結果に基づいて、適正な環境になるように改善されてゆきます。
 私達、学校薬剤師の仕事は環境検査だけではありません。学校関係の法律の中で健康相談、保健指導に従事することとされています。
 平成24年度から中学3年生の授業の中で薬教育がはいることになりました。体育教諭が保健の授業を行うことが多いようですがその中で薬教育の授業を学校薬剤師が行うこともあります。事前に担当の先生と打ち合わせを重ねます。正しい薬の飲み方を知る、そして身につけるということが、薬物乱用を防ぐ第1歩にもなります。学校からの希望で薬教育だけでなく薬物乱用の授業を中心に行う場合もあります。現代社会は子供達が安易に薬物を手にすることもできます。薬物をすると捕まってしまう、ただダメではなくなぜいけないのか、薬の専門家の薬剤師の立場から児童・生徒達に伝えてゆきます。
 薬物乱用の授業を行う際には必ず薬の正しい使い方も導入の部分で説明します。そうすることにより薬物乱用がなぜダメかという事がより伝わってゆきます。また最近ではこの授業の中でうっかりドーピングについて少し話をするケースもあります。ドーピングとは何なのか、ドーピングを意識的に行うとしていなくても知らずに使ってはいけない薬を使用するとドーピングになってしまうこと、そしてそれを防ぐためには個々がドーピングについての知識をもっていることが必要です。
  学校薬剤師は今現在の環境衛生だけでなく児童・生徒が将来、大人になってからも自身を守れるようにそのための力になれるよう取り組んでいます。

こんな仕事をしています

どんな仕事をしているの?

 学校薬剤師のお仕事には定期検査と臨時検査、その他児童生徒の健康を守るために指導助言を行います。
 定期検査では、教室内の学習環境を守るため、黒板面と机上面の照度、教室内の温度、湿度、気流のほか、二酸化炭素、一酸化炭素の濃度、一酸化窒素の濃度、シックハウス症候群の元凶となる、トルエンやキシレンの濃度などを測定し、環境保全に努めます。
 給食室では、給食室内の衛生状況の確認や、検食の確認、水質検査や細菌検査を行なっています。食器やまな板、食缶やスプーンなどの器具の洗浄状況を確認するために、一般細菌と大腸菌の検査、デンプンや油分の検出の検査等を行なっています。
 プール施設がある学校では、プール施設の衛生状態の確認とともに、プールの水質の検査を行います。プール水は飲料水に準ずるので、遊離残留塩素、一般細菌、大腸菌、トリハロメタン、濁度、有機物、水素イオン濃度の検査を行い、安全にプールに入れるように検査をしています。
 近年では、学校からの依頼により、児童生徒に、医薬品の正しい使い方の講義や、薬物乱用防止教室の開催なども、学校薬剤師が行なっています。

環境衛生検査について

水質検査

大勢の児童生徒と職員が使用する学校の飲料水は水道法の基準に従い基準が決まっています。そのうち学校薬剤師が検査する項目は次の通りです。
 

遊離残留塩素・・・0.1mg/L以上
色・・・・・・・・無色透明で、沈殿物や浮遊物がないこと。
匂い・・・・・・・異常でないこと。
味・・・・・・・・無味で異常でないこと
 

これらを薬剤師自らが、検査機器を用い残留塩素を計測し、色、味、匂いを確認します。このように薬剤師自身が飲料水として、安心して児童生徒が使用できるかどうか確認します。

照度検査について

多くの時間を過ごす学校での照度環境の管理は非常に重要です。学校では、児童生徒や職員の視力の低下を防ぐだけでなく、学習効率の向上や作業能率の向上にもつながるからです。
 教室内の照度も学校環境衛生基準できめられていて、500ルクス以上が望ましく、雨天や曇天でも300ルクスを下回らないことととなっています。
 照度検査を定期的に行うことで、学校での安全な照度環境を保持することができます。

プール検査について

 学校のプールは衛生状態を守るために細かくに管理されています。例えば、周囲に巡らされた柵は、外部から部外者が侵入して、不衛生ものや、ガラスなどの危険物を持ち込まないようにするためのもので、プール水は飲料水と同じ規格となっていて、プール熱の感染予防や、大腸菌が繁殖予防のために、残留塩素の注入が必須となっています。
 これらの状態を確認するために、学校薬剤師はプール使用30日以内で、定期的に検査を行なっています。
 検査内容は、プールの施設の状態と衛生状態、プール水の残留塩素、一般細菌、大腸菌、濁度、水素イオン濃度、トリハロメタン等を検査しています。
 検査で、異常な数値が出た場合、学校薬剤師は状況に応じて適切かつ迅速な指導を学校側に行って状況の改善を行うことで学校での安全なプールの使用を実現できるのです。

給食施設の検査

 相模原市立の小学校では一部を除き給食室があり、給食が提供されています。学校給食では一度に大量の食事を調理し提供されるため、万が一にも食中毒などということはあってはなりません。
 そこで相模原市薬剤師会では、相模原市から委託を受けて1年に3回の給食施設の検査を行なっています。
 検査内容は、給食に用いる食器や食缶、はしやスプーン、調理に用いるまな板や包丁などの一般細菌と大腸菌の検査、それらの洗浄状態を見るための、残留澱粉と残留脂肪の検査、施設内の衛生状態の確認等を学校薬剤師が行います。この時薬剤師は手袋、マスク、帽子、白衣を着用し、検査を行います。
 検査で基準を超える数値が出たり、問題があれば、学校薬剤師は指導、助言を行い、より衛生的で安全な給食環境を保持していくことができるのです。
公益社団法人
相模原市薬剤師会
〒252-0236
神奈川県相模原市中央区
富士見6-1-1
TEL.042-756-1502
FAX.042-758-9615

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